ゆらゆらとたゆたう
偽島のあれやこれをそれとかするブログです
2010
完成したので言い訳は爆破。
遅い!遅すぎる!
雑記書くとか言ってたけど全然ですね。やる気はあります!
実際のメッセージと日記の内容に齟齬が生じておりますがセーブ&ロードしたとかそんな感じで!
遅い!遅すぎる!
雑記書くとか言ってたけど全然ですね。やる気はあります!
実際のメッセージと日記の内容に齟齬が生じておりますがセーブ&ロードしたとかそんな感じで!
その日、彼らは朝から調理場で作業をしていた。
そんな彼らの元に、ゆらりとした足取りで近づいて行く。
調理場にいた物達は一斉に作業を止め、振り返る。
「あらら、お嬢。 どうなさいました? お腹空きましたか?」
燕尾服を着込んだ、執事然とした青年が問いかけてくる。
私は小さく首を横に振る。
「何をしているかって? チョコを作っているのさ! なんのために? それは、ゆらゆらにプレゼントするためさー! 今日はバレンタインデーだからね!」
私よりも一回り大きい女性が、後ろから抱え上げられる。
そして、何故か頬ずりをされた。
「ああ、バレンタインの話はしておりませんでしたか。 大切な人にチョコを送る日なんですよ。 めんどいんで、詳細につきましては思兼さんにでも聞いて下さい」
そんなことを言いながら青年は、私の口へチョコを含ませる。
「え? お嬢もチョコを? いや、我々が貰っても無駄にしてしまいますし」
「ゆらゆらの気持ちだけ有り難く頂いておくよ! 有り難うゆらゆらー! 私も愛してる!」
そして、その日はこれでもかと大量にチョコを食べさせられた。
そんなことを思い出しながら、溶けていくチョコを眺めていた。
■ 由良木ゆら 観察日記 17日目 ~夜は短し配れよ乙女~
小さな箱をピンクの包みと黄色いリボンで梱包し、彼女は小さく溜息を吐いた。
箱の中身はおそらくチョコレート。
良く出入りしている駄菓子屋さんで貰ったものを、溶かして何やら調理していた。
何故、そんなものを探索そっちのけで準備しているかと言えば、今日は巷で噂のバレンタイン。
大好きなあの人へ、何時も見ているだけで気持ちを伝えられないあの人へ、仲の良いあの人へ、日頃お世話になっているあの人へ。
様々な思いを添えてチョコを送る日、だそうだ。
さて、彼女の箱にはどんな想いが添えられているのだろうか(注.1)
「え? チョコですか?」
まずは驚きの声、そして一拍間を置き照れ隠しのように頭を掻く。
「すみません、この島に来て貰えてると思っていなかったのでびっくりしました。 有り難う御座います」
狐色に揚がった衣を挟み、二つ、三つと紙袋へと運ぶ(注.2)
漂う、油の匂いが食欲を刺激する(注.3)
「あ、これがお返しというわけではないですからね? ホワイトデーをお楽しみに」
笑顔と共に差し出される茶色の紙袋。
ショーケース越し、一人の女性と交わされるそんな会話を少し離れた所で眺めていた。
その女性の後も、ひっきりなしに客が訪れる。
夕食の食材やおかずを買い求める、そんな時間になってしまったようだ。
島に来る前も、同じ仕事をしていたそうで手際が良い。
飛び交う注文を処理する笑顔が、実に板についていた。
その場をゆっくりと離れていく、彼女。
どうやら、チョコを渡すのは諦めてしまったようだ。
遺跡内にも小規模ではあるが、出店がある。
同じ所にいる探索者が集まり、人こそ少ないが活発に取引が行われていた。
が、もうすでに陽が暮れ始めている。明日の探索に備えているのだろう、人影はほとんどない。
店じまいを始めている出店の一つに、見知った顔を見つける。
「やー、チョコ売れないっすね。 やっぱり、みんな自作するんでしょうかね」
おそらく、今日最後であろう目の前の客にそんなことを話していた。
「あ、これ売れ残りですけど持って行って下さいよ」
差し出す箱の中身はやはり、チョコなのだろう。
「実は先輩のこと前から……あ、いや冗談ですって! どん引きしないで!」
男性客が一歩後ろに下がるのを見て、慌てて否定。
なんだ、冗談か(注.4)
「もちろん、ただで良いですよ。 いや、実はチョコが逆に増えてしまったんですよね。
これってあれっすかね? 人生に三度来るという……」
男からのチョコなんて切なくなるものなどいらん、とその客は包みを突き返す。
二人から漏れる、小さな笑い(注.5)
そして訪れる、殺伐とした雰囲気(注.6)
そんな様子を尻目に、彼女は歩き出していた。
今のやり取りから、チョコはもう充分とかそんな風に受け取ったようだ。
折角だし、渡してしまえば良いのに。
テントの横で薪が燃やされている。
が、人の気配は無い。
どうしたものかと立ち尽くしていると、茂みの方から物音が。
それは、まさにあっと言う間の出来事だった。
ブロードソードが一閃。まずは毒蛾切り捨てられた。
襲い来る狼の牙を、身体を捻ってすれ違うと同時に刃を叩きつける。
大きな振りの隙をついて、背後から飛びかろうと大きな烏に突き刺さるは片手で投擲したダガー。
三匹の獣は、一人の男に切り伏せられていた。
剣を鞘へと収める男。
その奥の茂みから、一人の少女が姿を現す。
少女の耳は普通の人間より長い。どうやら、エルフのようだ。
「どうしました? 美しいエルフのお嬢さん」
「一人で恐るべき獣たちに立ち向かう貴方の勇敢な姿に、心を奪われてしまいました。 このチョコレートをチョコレートを受け取って下さい! そして、結婚を前提にお付き合いして下さい!」
的な、妄想を口走っていた(注.7)
そんな、男の周囲。先ほど切り伏せられた獣達がゆっくりと起き上がる。
妄想に浸っている男は、まだ気づかない。
ゆらり、手負いの獣達が男に襲いかかった。
「な なにをするきさまらァアアアアアアァァァァァーッ(断末魔」
それはそれは見事な断末魔の響きだった(注.8)
結局、渡せなかった箱は手元に残ることになった。
じっと、箱を眺める彼女の背中はどこか寂しげだ。
慰めの言葉でも掛けておこうかと、肩に手を乗せる。
そのとき、なんと箱がふわり宙に浮かぶ。
そして、ゆっくりとしかし確実に加速していく。
チョコが打ち上がるという話を聞いたが、この現象がそうなのだろうか。
空を見上げていると、同じようにいくつもの箱や包みが空に打ち上がっていくのが見える。
包装が、月の輝きを反射して光の尾を形作る。
儚くもの悲しい煌めきだった。
注.1
何も考えていない可能性大
注.2
コロッケ、コロッケ、メンチカツ
注.3
実際にとても美味しい。食べたい。
注.4
がっかりだ。
注.5
「こやつめ、ハハハ!」「ハハハ!」
注.6
「お前よりも俺が手にすべきチョコレートだ! そっちのチョコをよこせ!」
注.7
エルフからのチョコなんて妄想でした。
注.8
最終的には勝ってた。流石。
※今回の日記は
ENo.428 佐倉アキと包丁 さん
ENo.571 東藤 タカシ さん
ENo.2160 ライール=ウォルフ=フォートレス さん
にご出演頂きました。ありがとう御座います!
そんな彼らの元に、ゆらりとした足取りで近づいて行く。
調理場にいた物達は一斉に作業を止め、振り返る。
「あらら、お嬢。 どうなさいました? お腹空きましたか?」
燕尾服を着込んだ、執事然とした青年が問いかけてくる。
私は小さく首を横に振る。
「何をしているかって? チョコを作っているのさ! なんのために? それは、ゆらゆらにプレゼントするためさー! 今日はバレンタインデーだからね!」
私よりも一回り大きい女性が、後ろから抱え上げられる。
そして、何故か頬ずりをされた。
「ああ、バレンタインの話はしておりませんでしたか。 大切な人にチョコを送る日なんですよ。 めんどいんで、詳細につきましては思兼さんにでも聞いて下さい」
そんなことを言いながら青年は、私の口へチョコを含ませる。
「え? お嬢もチョコを? いや、我々が貰っても無駄にしてしまいますし」
「ゆらゆらの気持ちだけ有り難く頂いておくよ! 有り難うゆらゆらー! 私も愛してる!」
そして、その日はこれでもかと大量にチョコを食べさせられた。
そんなことを思い出しながら、溶けていくチョコを眺めていた。
■ 由良木ゆら 観察日記 17日目 ~夜は短し配れよ乙女~
小さな箱をピンクの包みと黄色いリボンで梱包し、彼女は小さく溜息を吐いた。
箱の中身はおそらくチョコレート。
良く出入りしている駄菓子屋さんで貰ったものを、溶かして何やら調理していた。
何故、そんなものを探索そっちのけで準備しているかと言えば、今日は巷で噂のバレンタイン。
大好きなあの人へ、何時も見ているだけで気持ちを伝えられないあの人へ、仲の良いあの人へ、日頃お世話になっているあの人へ。
様々な思いを添えてチョコを送る日、だそうだ。
さて、彼女の箱にはどんな想いが添えられているのだろうか(注.1)
「え? チョコですか?」
まずは驚きの声、そして一拍間を置き照れ隠しのように頭を掻く。
「すみません、この島に来て貰えてると思っていなかったのでびっくりしました。 有り難う御座います」
狐色に揚がった衣を挟み、二つ、三つと紙袋へと運ぶ(注.2)
漂う、油の匂いが食欲を刺激する(注.3)
「あ、これがお返しというわけではないですからね? ホワイトデーをお楽しみに」
笑顔と共に差し出される茶色の紙袋。
ショーケース越し、一人の女性と交わされるそんな会話を少し離れた所で眺めていた。
その女性の後も、ひっきりなしに客が訪れる。
夕食の食材やおかずを買い求める、そんな時間になってしまったようだ。
島に来る前も、同じ仕事をしていたそうで手際が良い。
飛び交う注文を処理する笑顔が、実に板についていた。
その場をゆっくりと離れていく、彼女。
どうやら、チョコを渡すのは諦めてしまったようだ。
遺跡内にも小規模ではあるが、出店がある。
同じ所にいる探索者が集まり、人こそ少ないが活発に取引が行われていた。
が、もうすでに陽が暮れ始めている。明日の探索に備えているのだろう、人影はほとんどない。
店じまいを始めている出店の一つに、見知った顔を見つける。
「やー、チョコ売れないっすね。 やっぱり、みんな自作するんでしょうかね」
おそらく、今日最後であろう目の前の客にそんなことを話していた。
「あ、これ売れ残りですけど持って行って下さいよ」
差し出す箱の中身はやはり、チョコなのだろう。
「実は先輩のこと前から……あ、いや冗談ですって! どん引きしないで!」
男性客が一歩後ろに下がるのを見て、慌てて否定。
なんだ、冗談か(注.4)
「もちろん、ただで良いですよ。 いや、実はチョコが逆に増えてしまったんですよね。
これってあれっすかね? 人生に三度来るという……」
男からのチョコなんて切なくなるものなどいらん、とその客は包みを突き返す。
二人から漏れる、小さな笑い(注.5)
そして訪れる、殺伐とした雰囲気(注.6)
そんな様子を尻目に、彼女は歩き出していた。
今のやり取りから、チョコはもう充分とかそんな風に受け取ったようだ。
折角だし、渡してしまえば良いのに。
テントの横で薪が燃やされている。
が、人の気配は無い。
どうしたものかと立ち尽くしていると、茂みの方から物音が。
それは、まさにあっと言う間の出来事だった。
ブロードソードが一閃。まずは毒蛾切り捨てられた。
襲い来る狼の牙を、身体を捻ってすれ違うと同時に刃を叩きつける。
大きな振りの隙をついて、背後から飛びかろうと大きな烏に突き刺さるは片手で投擲したダガー。
三匹の獣は、一人の男に切り伏せられていた。
剣を鞘へと収める男。
その奥の茂みから、一人の少女が姿を現す。
少女の耳は普通の人間より長い。どうやら、エルフのようだ。
「どうしました? 美しいエルフのお嬢さん」
「一人で恐るべき獣たちに立ち向かう貴方の勇敢な姿に、心を奪われてしまいました。 このチョコレートをチョコレートを受け取って下さい! そして、結婚を前提にお付き合いして下さい!」
的な、妄想を口走っていた(注.7)
そんな、男の周囲。先ほど切り伏せられた獣達がゆっくりと起き上がる。
妄想に浸っている男は、まだ気づかない。
ゆらり、手負いの獣達が男に襲いかかった。
「な なにをするきさまらァアアアアアアァァァァァーッ(断末魔」
それはそれは見事な断末魔の響きだった(注.8)
結局、渡せなかった箱は手元に残ることになった。
じっと、箱を眺める彼女の背中はどこか寂しげだ。
慰めの言葉でも掛けておこうかと、肩に手を乗せる。
そのとき、なんと箱がふわり宙に浮かぶ。
そして、ゆっくりとしかし確実に加速していく。
チョコが打ち上がるという話を聞いたが、この現象がそうなのだろうか。
空を見上げていると、同じようにいくつもの箱や包みが空に打ち上がっていくのが見える。
包装が、月の輝きを反射して光の尾を形作る。
儚くもの悲しい煌めきだった。
注.1
何も考えていない可能性大
注.2
コロッケ、コロッケ、メンチカツ
注.3
実際にとても美味しい。食べたい。
注.4
がっかりだ。
注.5
「こやつめ、ハハハ!」「ハハハ!」
注.6
「お前よりも俺が手にすべきチョコレートだ! そっちのチョコをよこせ!」
注.7
エルフからのチョコなんて妄想でした。
注.8
最終的には勝ってた。流石。
※今回の日記は
ENo.428 佐倉アキと包丁 さん
ENo.571 東藤 タカシ さん
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