ゆらゆらとたゆたう

更新待ちの間に、16回分の日記を保管しておこうね。
雑記も書いておけると良いな。


■　由良木ゆら　観察日記　15日目　～野良鳩～

今回のあらすじ
黒豹に遥か彼方に吹っ飛ばされた。


「なななな何事ですか！？」

吹っ飛ばされた彼女を走って追いかけた。
その先には一人の少女。くるくるとした巻き毛が特徴的だ。
その少女の前。地面に顔から突っ込むようにして、彼女は倒れていた。
『くるくる巻き毛の少女』と共に、おそらくペットであろう大きな鳩と大きなトカゲも目を丸くしている。

「突き殺すぞコラ」
「ダメーっ！　だだだだ大丈夫ですか？」

トドメを刺そうとする鳩を止め、恐る恐るといった様相で『くるくる巻き毛の少女』は倒れている彼女をひっくり返す。
あれだけの勢いで吹っ飛ばされたにもかかわらず、大きな怪我は見当たらない。
あの胸元の宝石の効果だろうか。
とりあえず、あたふたしている『くるくる巻き毛の少女』に事の成り行きを説明する。

「はあ、黒豹に襲われて……そうですか、大きな怪我がないようなので、良かったです！」

説明を終え、『くるくる巻き毛の少女』も落ち着いたようなので、お互いに自己紹介。
何でも、装飾職人であるらしい。
これは運が良い。折角なので製作依頼をしてみる。
笑顔と共に、快い承諾が返ってきた。



『くるくる巻き毛の少女』は加工用の道具をいそいそと取り出す。

「遺跡の外にもお店を持ってるんで、良かったら遊びに来てくださいね」
「突き殺すぞコラ」
「えーっ！？」

先ほどまで彼女が居た場所には大きな鳩が鎮座していた。
彼女はといえば、少し離れた場所で何か作業をしている。
あ、火が出た。
まあいいか、と『くるくる巻き毛の少女」も作業に没頭し始めた。



出来上がったのは、小さな夜空だった。
うっすらと黒く小さな瓶に、白砂の中に混じっていた星型の殻が詰められている。
それを受け取り、感謝の言葉と共に彼女から差し出される、リボンが掛けられた青い包み。
中身はクッキーだそうだ。
さっき作っていたのはこれのようだ。お礼のつもりなのだろう。
二、三会話を交わして、別れることとする。

「遺跡外のお店。　今度、お邪魔しますね」

別れ際に彼女のそんな一言。
『くるくる巻き毛の少女』は笑顔で振り返り、

「は「突き殺すぞコラ」ね！」

大鳩に頭部を啄ばまれる、彼女の姿を目撃する。

「だからダメーっ！！」

山脈に『くるくる巻き毛の少女』の叫びが木霊した。


※今回の日記は
ENo.986 雨ヶ谷 風楽　さん
にご出演頂きました。ありがとう御座います！